【1月24日 AFP】17日にキリスト教徒とイスラム教徒の間で衝突が発生したナイジェリア・プラトー(Plateau)州の州都ジョス(Jos)近郊のクルカラマ(Kuru Karama)村で、これまでに少なくとも150人の遺体が井戸から引き上げられた。衝突による死者は450人を超えたという非公式情報もある。

 同村のウマル・バザ(Umar Baza)村長によるとさらに60人が行方不明になっているという。同村はジョスの南約30キロにあるイスラム教徒の住民が多い地域で、キリスト教徒が多い地域に囲まれている。 

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ( Human Rights WatchHRW)は目撃者の証言として、キリスト教徒とみられる武装した男達が19日朝、クルカラマ村を襲撃したと報告している。男たちは村を包囲し、逃げようとした人を生きたまま焼き殺したという。

 イスラム教指導者からの情報としてHRWが23日に発表したところによると、ジョスで発生し周辺の町村に拡大した今回の衝突で、クルカラマ村で遺体で発見された人を含め22日までに少なくとも364人のイスラム教徒が死亡した。HRWは23日、グッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)副大統領にイスラム教徒虐殺を犯罪として速やかに捜査を行うよう申し入れた。

 一方、同国のキリスト教団体は今週、キリスト教徒55人が死亡したと発表している。

 赤十字によると約1万8000人が軍の兵舎や教会、モスクに避難した。ジョナサン副大統領は政府は軍に治安回復を命じるとともに、衝突の首謀者にかならず法の裁きを受けさせると言明した。
 
 プラトー州のキリスト教とイスラム教の指導者らは、衝突の原因は宗教的な対立というより、政治指導者が民族間の対立に十分取り組んでこなかったことにあるとしている。

 ほぼ同数のキリスト教徒とイスラム教徒が暮らす人口約1億5000万人のナイジェリアにあって、ジョスは宗教間の対立による衝突の中心になってきた。2008年後半の宗教抗争では200人が死亡したと推定されている。

 23日、ジョス市内は企業や商店が営業を再開するなど徐々に普段の生活を取り戻しているが、ジョスから逃れようとする人を乗せたバスや乗用車は依然として多く、共同の水道には長い列ができている。パトロールする兵士の姿は見えないが、検問所は維持されている。(c)AFP/Aminu Abubakar