【1月10日 AFP】イスラム教国のマレーシアで9日、キリスト教の教会に火炎瓶が投げ込まれ、同様の襲撃はこの2日間で4件目となった。

 首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)南西部にあるプロテスタントのグッド・シェパード・ルーテル教会(Good Shepherd Lutheran Church)で現地時間午後2時(日本時間同日午後3時)ごろ、3階建ての施設の1階と2階の間の窓に向けて火炎瓶が投げ込まれていたのを教会関係者が発見した。わずかに狙いは外れたが、壁の一部が焦げたという。負傷者が出たとの情報はない。

 同教会の牧師はAFPの取材に対し、首都周辺で前日発生したほかの教会への攻撃と関連があるのではないかと語った。

 前日の8日、クアラルンプールでは3か所の教会が同様の攻撃を受け、ナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は人種・宗教的差別に基づいた犯罪の取り締まりを宣言した。

 マレーシアではイスラム教が国教だが、キリスト教カトリック系の新聞ヘラルド・カトリック(Herald Catholic)紙がアラビア語で神を表す「アラー」の語を使用したことをめぐり、政府が同紙を訴えていた。ところが前週、カトリック紙側の使用を認める判決が出され、宗教間の緊張が高まっていた。

 背景にはここ数年、宗教・人種間の対立が目立つようになっており、ほとんどがイスラム教徒であるマレー系住民と、国の「イスラム化」を恐れる中国系やインド系との関係が悪化している。マレーシアではキリスト教徒は人口の約10%を占める。(c)AFP