【12月31日 AFP】イラクで2007年に武装グループに拉致されたITコンサルタントの英国人男性が、拘束から約2年半ぶりに無事解放されたと、英メディアなどが31日報じた。

 解放されたのは拉致時、米系コンサルタント会社ベアリング・ポイント(BearingPoint)に勤務していたピーター・ムーア(Peter Moore)さん(36)。

 デビッド・ミリバンド(David Miliband)英外相によると、ムーアさんは30日解放され、イラクの首都バグダッド(Baghdad)の英大使館の保護下にある。同外相はムーアさんの状態について「言葉にできないほどの苦境、恐怖、不安に満ちた2年半」の後ながら「気の持ち方が非常にしっかりしている」と発表した。

 2007年5月、首都バグダッド(Baghdad)のイラク財務省から、約40人の武装集団によって拉致された。翌6月、ムーアさんと一緒に連れ去られた警護員4人のうち2人、9月にはもう1人の遺体が英国政府に引き渡された。4人目の警護員の消息は不明のままだ。

 犯行グループは「正義の同盟(League of the Righteous)」と名乗る武装勢力の一部だった。

 英メディアは31日、イラク駐留米軍が、拘束していた「正義の同盟」の司令官とその部下らをイラク当局に引き渡したことから、ムーアさんの解放が確実になったと報じた。まもなく解放が発表され、また米軍が数人をイラク政府に引き渡したことも明らかにされた。

 英政府は今回の解放について、イラク国内の和解が進んだ成果とみている。ただしミリバンド外相は、ムーアさんの解放を直接確保にする取り引きはなかったとしている。

 ムーアさんの母親アブリル・スウィーニー(Avril Sweeney)さん(54)は「まるで頭上を覆っていた真っ黒な雲が一気に引いたよう。この2年半の苦しみから急に解放された。また笑うことができます」と述べた。(c)AFP