【12月28日 AFP】(一部更新、写真追加)パキスタン南部シンド(Sindh)州のカラチ(Karachi)で28日、イスラム教シーア派最大の年中行事アシュラ(Ashura)の行進参列者を狙ったとみられる自爆攻撃が発生した。この攻撃で少なくとも30人が死亡、63人が負傷したと、シンド州の保健相は伝えている。
 
 目撃者らによると爆発後は、憤った参列者が救急車に石を投げつけ車両や商店に火をつけたほか、空に向けて銃を撃つなどの騒動に発展した。

 レーマン・マリキ(Rehman Malik)内相はこの自爆攻撃について、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」、およびLashkar-i-Jhangvi al Almiというあまり知られていない別のイスラム系武装勢力の犯行によるものとの見方を示している。アフガニスタン国境地帯付近では現在、TTPに対する本格的な掃討作戦が展開されている。

 シーア派教徒にとって一年で最も神聖な行事とされるアシュラには、各地で行進が行われるが、カラチの行進はパキスタン国内で最大のものとして知られる。そのためパキスタン当局は警官や民兵など数万人を動員し、宗派間の衝突やシーア派信者を狙った爆弾攻撃などに厳戒態勢で備えていた。

 アシュラでは、シーア派教徒が7世紀の殉教者、イマーム・フセイン(Imam Hussein)を悼むが、この日カラチでは5万人を超える教徒が街頭にあふれ、黒い衣服を着て行進したり、上半身はだかになって鎖で体をたたいたりナイフで体の表面を斬りつける苦行を実践していた。

 パキスタンでは前日夜にも、カシミール(Kashmir)の主要なシーア派のモスク前で自爆攻撃が起き、7人が死亡している。(c)AFP