【11月23日 AFP】英国・北アイルランドのベルファスト(Belfast)で21日夜、大量の爆発物を積んだ自動車が警察施設前に放置され、一部が爆発した。警察によると、車には火薬180キロ相当が積まれており、広範囲に被害が及ぶよう計画されていたという。

 車は夜7時過ぎ、警察施設前のフェンスに衝突し、およそ30分後に爆発が起きた。警察発表によると、衝突の直後に現場から2人の男が走って逃げたという。

 一方、アイルランドとの国境に近い西部ガリソン(Garrison)村では同日、警察官と武装グループとの銃撃戦があり、同村で3人が逮捕されたほか、1人がアイルランド側のドアーズ(Dooard)に逃走した。

■今年に入って治安が再び悪化

 長年紛争が続いた北アイルランドの治安は1998年の包括和平合意(いわゆる「聖金曜日の合意(Good Friday Agreement)」)以降、大きく改善し、プロテスタント勢力とカトリック勢力の権力分担に道を開いた。

 しかし、今年3月に英軍兵士2人、警官1人が武装グループの襲撃で死亡し、紛争によるものとしては約10年ぶりの死者となって以来、過激派グループの脅威が高まっている。

 9月8日にはアイルランドとの国境付近で270キロの路肩爆弾が発見されたほか、その3日後には警官の家族が住む家の外で相次いで爆弾騒ぎが起きた。10月16日にはベルファストで警官の妻の自動車下部に仕掛けられた爆弾が爆発、6日後には英陸軍の予備役兵の宿舎で爆発事件が起きている。

 北アイルランド議会では現在、英政府からの警察権・司法権の移譲をめぐって第一党のプロテスタント系政党と第二党のカトリック系政党が対立しており、和平プロセスの進展への影響が懸念される。(c)AFP