【9月29日 AFP】北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganisationNATO)のアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)事務総長は28日、アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル(Stanley McChrystal)司令官が報告書で示したアフガニスタン戦争に対する厳しい見通しについて、同様の認識を持っていると語った。一方で、増派要請については消極的な姿勢を見せた。

 ラスムセン事務総長は、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で行われた米シンクタンク「アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)」での講演後、複数のメディアで報じられたマクリスタル司令官の報告書について聞かれ、「基本的には、司令官と同様の見解を共有している」と語った。

 NATO主導の国際治安支援部隊(International Security Assistance ForceISAF)司令官も兼務するマクリスタル司令官は、報告書の中で、このままでは軍事的解決はないとの見解を示し、人命を守るために「より包括的なアプローチ」を求めている。

 ラスムセン事務総長は、マクリスタル司令官が求めている増派については言及を避けたが、ISAF参加国に対しては、アフガニスタン治安部隊を強化し最終的に駐留外国軍の撤退に導くため、これまで以上の顧問団や資金の提供を求めている。

 ラスムセン事務総長は講演で、米国内でもちあがっているISAFはアフガニスタンでの戦闘を避けているとの批判に対し、ISAFに参加するカナダや欧州はアフガニスタン各地に大量の軍部隊を展開させており、戦闘によって多くの兵士が死亡していると語り、強く反論した。

 事務総長は、約10万人のアフガニスタン駐留外国軍のうち、3万5000人は米軍以外の軍隊だと指摘し、「アフガニスタンでの作戦を成功させるには、われわれが協力して取り組んでいくしかない」と強調した。(c)AFP/Dan De Luce