【9月5日 AFP】アフガニスタン北部クンドゥズ(Kunduz)州で4日、同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)を狙った国際治安支援部隊(International Security Assistance ForceISAF)の空爆で地元住民を含む多数が死亡した。この事件で地元住民の怒りが高まり、アフガニスタンと欧米諸国の関係が悪化するのではないかと懸念されている。

 アフガニスタンの国会議員Ahmad Behzad氏は、タリバンは民間人の犠牲者を増やすことで外国の駐留部隊に対する国民感情を悪化させ、タリバンの活動を正当化しようとしていると指摘する。

 カブール(Kabul)在住の外国人アドバイザー(匿名希望)も、今回の事件はアフガニスタンでの軍の駐留を正当化しようとしていた欧米諸国にとって、これ以上ない最悪のタイミングだった一方、外国の駐留部隊が問題に直面していることを示すには理想的なタイミングだったと指摘する。

 アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は、民間人を巻き込むのは容認できないとの声明を出したが、カルザイ大統領は民間人に犠牲者が出たことを巧みに利用し、自らへの支持につなげようとしているとみる専門家もいる。

 前述のBehzad氏は、タリバンから直接攻撃を受けて大勢の人が死亡している事実にはあまり触れない一方、外国駐留部隊の作戦で大勢の民間人が命を落とした事実を強調することで、アフガニスタン政府は結果的に外国駐留部隊に対する国民の反感をあおるタリバンのプロパガンダに力を貸してしまったと指摘し、政府は民間人の犠牲者の責任はタリバンにあることを国民に対し明確に語るべきだと主張する。

 それでも欧米の軍幹部は、外国駐留部隊に対する住民の不満の主な原因は空爆による被害だと考えている。国連によるとアフガニスタン政府や米国など多国籍軍の攻撃による2008年の民間人の犠牲者は828人だったが、そのうちの3分の2は空爆によるものだった。(c)AFP/Lynne O'Donnell