【8月29日 AFP】中国と国境を接するミャンマー北東部から大量の住民が中国の雲南(Yunnan)省に避難している。国連難民高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for RefugeesUNHCR)は難民が最大3万人に上るとの見方を示している。

 今月8日にミャンマー北東部シャン(Shan)州コーカン(Kokang)地区で政府が麻薬を製造している疑いがある銃器修理工場を捜索したことをきっかけに地元住民の間で緊張が高まり、大勢が中国に逃げ始めた。現地にはもはや高齢者しか残っていないという。

 ミャンマーの軍事政権に反対する活動を展開している米国の団体「U.S.キャンペーン・フォー・ビルマ(U.S. Campaign for Burma、USCB)」によると27日には、コーカン地区で政府軍と現地の武装勢力の間で衝突が発生した。USCBによるとこの衝突でミャンマー人の警官が少なくとも1人死亡したとの情報があるという。

■大規模な内戦に発展するおそれも

 1962年からミャンマーを支配している同国の軍事政権は、1989年に17の少数民族の武装勢力と停戦合意を結んだ。USCBによると今回の武力衝突に先立ち、コーカン地区の武装勢力、ミャンマー民族民主同盟軍(Myanmar National Democratic Alliance ArmyMNDAA)が分裂し、一方が同地区の中心都市、ラオガイ(Laogai)に駐留する政府軍部隊に合流した。もう一方は政府軍の指揮下に入ることを拒否している。

 別の武装勢力、ワ州連合軍(United Wa State ArmyUWSA)がミャンマー民族民主同盟軍に合流して政府軍と戦っているという情報もある。専門家は大規模な内戦に発展するおそれもあると指摘している。

 ミャンマー民族民主同盟軍の指導者、Peng Jiasheng氏はUSCBを通じて、全当事者が参加する平和的な交渉を緊急に行うよう呼びかけたが、軍事政権側はPeng Jiasheng氏とその家族は麻薬生産に関与した容疑で指名手配中の逃亡犯だとしている。

 事態の悪化を受けて中国政府はミャンマー政府に、国内問題を解決し国境付近の治安を安定化するべきだと警告している。ミャンマーにとって中国は最大の武器供給国、そして同国の天然資源の最大の貿易相手国でもある。(c)AFP