【8月28日 AFP】第2次世界大戦中にナチス(Nazis)ドイツの捕虜となった連合国軍兵士10万人以上の記録が27日、インターネット上で公開された。映画『大脱走(The Great Escape)』の原案にもなった悪名高いコルディッツ(Colditz)収容所からの脱走劇や、身の毛もよだつような体験談が数多く記されている。

 記録は、ドイツ、オーストリア、ポーランドの捕虜収容所に入れられた連合国軍兵士のもので、英軍兵士を中心に、オーストラリア、カナダ両軍の兵士数百人分も含まれている。これらの記録はこれまで、山積みされ、ほこりにまみれるままになっていた。

『大脱走』には、捕虜たちが「トム」「ディック」「ハリー」と名付けた脱走用のトンネルを掘ったり、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)演じる捕虜がバイクで有刺鉄線を飛び越えて逃走しようとしたりするシーンがあるが、公開された記録にもさまざまなエピソードが記されている。

 例えば、故ジョック・ハミルトンベイリー(Jock Hamilton-Baillie)氏は、コルディッツ収容所を含め5か所の収容所で脱走を試みた。コルディッツ収容所では、泥棒が着るようなぴったりした黒いキャットスーツを着て脱走の成功寸前までいった。当時、英王位継承権7位だったジョージ・ヘンリー・フバート・ラッセル(George Henry Hubert Lascelles)子爵も、1944年から終戦まで、コルディッツ収容所に入れられていたという。

 ナチスから受けた虐待の証言もある。

 ポーランドの収容所に入れられていた元捕虜は、収容所での仕事の中に、ユダヤ人墓地の墓を掘り起こして遺体から金目の物を回収する作業があり、「われわれの多くはジュネーブ条約(Geneva Convention)を理由に拒否したが、聞き入れられなかった」と記している。また、深い雪の中に整列させられ、警備兵の気が済むまで立たされ続けたことが何度もあったとも証言。「警備兵たちは飽きてくると、ライフル銃を持って突進してきて、運の悪い者は打ちのめされていた」と話している。(c)AFP

【参考】ナチスの捕虜となった英軍兵士たちの記録(英語)