【7月31日 AFP】スペイン北部バスク(Basque)地方の分離独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由(ETA)」は31日、結成50周年を迎えた。最近ではスペインやフランス当局による摘発が進み、今後、ETAは弱体化していくとみる専門家も多い。

 ETAは1959年7月31日、バスク語の使用を禁じたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統による独裁体制に対抗する学生らによって結成された。当初は、政治的手段による独立を目指していたが、後に武装闘争路線に転じた。以来、1968年8月の警察官射殺を皮切りに、銃撃や爆弾攻撃などの暴力闘争を繰り返し、これまでに820人以上がETAにより殺害された。

 しかし、ETAに詳しいバスクのジャーナリスト、ゴルカ・ランダブル(Gorka Landaburu)氏は、スペインで600人、フランスで150人のETAメンバーが、警察に身柄を拘束されていると指摘。

「ETAは追い詰められている。生き残る道は、分裂するか政府との対話路線に転じるしかない」と話す。

 バスクの通信社バスコプレス(Vasco Press)編集長でバスク情勢に関する書物の著者でもあるフロレンシオ・ドミンゲス(Florencio Dominguez)氏も、ETAの勢力は弱体化しているとみる1人だ。「多数の死傷者を出す攻撃は減少し、警察の取り締まりも最終段階にある。今後、ETAは小規模な犯罪集団に分裂するだろう」

 服役中のETAのメンバーのなかにも、暴力による闘争を疑問視する者も増えており、ETAが内部分裂を始めたとの見方は多い。(c)AFP/Elisa Santafe and Pierre Ausseill