【6月22日 AFP】反政府勢力により、首都モガディシオ(Mogadishu palace)の大統領官邸を包囲されているソマリア暫定政府のシェイク・シャリフ・アハメド(Sheikh Sharif Ahmed)暫定大統領が22日、非常事態を宣言した。

 記者会見したアハメド大統領は、「全土で戦闘が激化していることから、暫定政府は本日、非常事態を宣言することを決定した」と発表した。大統領側近は、非常事態の発動にはさらに議会の承認が必要だと述べた。議会が召集される日時や場所については明らかになっていない。

 2年にわたり介入していたエチオピア軍が6か月前に撤退したばかりだが、91年以来混乱状態が続く国内で非常事態宣言が効力を発揮することはほとんどないとみられる。

 ソマリア議会のアデニ・モハメド・ヌル(Aden Mohamed Nur)議長は前日、「暫定政府は反政府勢力によって弱体化させられている。ケニア、ジブチ、エチオピア、イエメンなど近隣国に24時間以内に軍を派遣してくれるよう要請したい」と異例の声明を発表。新たな外国軍による支援が一気に現実化しそうだ。

 ソマリアでは現在、イスラム強硬派の反政府勢力らと暫定政府軍の戦闘が約6週間にわたり続いており、5月以降の死者は少なくとも300人に上り、13万人が避難している。

 18日には、イスラム強硬派の反政府勢力の掃討を率いていた暫定政府のオマル・ハシ・アデン(Omar Hashi Aden)国家安全保障相が、自爆攻撃を受けて死亡した。

 22日、アフリカ連合(African UnionAU)はソマリアの事態に懸念を示した。AUの執行機関、AU委員会のジャン・ピン(Jean Ping)委員長は、ソマリア暫定政府には「AU加盟国やさらに大きな国際社会の支援を求める権利がある」と支援に前向きな姿勢を示した。

 21日はイスラム諸国会議機構(Organisation of the Islamic ConferenceOIC)のエクメレディン・イフサンオウル(Ekmeleddin Ihsanoglu)事務局長は「国際社会の早急な介入が不可避となっている。暫定政府の支援、秩序の回復、無実の市民たちの被害の緩和が必要だ」と述べ、緊急国際行動を呼び掛けた。(c)AFP/Mustafa Haji Abdinur