【6月22日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力で現在、反政府活動を続けるイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の最高指導者ムハマド・オマル(Mohammad Omar)師が、配下の武装グループへの直接指揮を再度強めていると、21日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が報じた。

 オマル師は武装グループらに直接、攻撃命令や司令官の交替などを指示しているという。オマル師は「クエッタ・シューラ」と呼ばれるタリバンの指導者たちによる評議会の最高位で、これまでは資金調達や宗教的指針の提示、戦略的助言などに専念し、米国率いる連合軍との戦闘に関する現場の指揮は各地域の司令官に任せていた。

 しかし、09年に入り、アフガニスタン南部および東部で発生した一連の自爆攻撃や暗殺事件は、オマル師が直接指令を下したものだという。米軍関係者やタリバンに近い筋からは、タリバンの戦略の変更を反映した動きだと指摘しており、戦闘の激化を懸念する。

 5月18日には東部で車列を襲撃されたハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領の弟、アフメド・ワリ・カルザイ(Ahmed Wali Karzai)氏が危うく難を逃れた。しかし、イスラム穏健派の聖職者カリ・サイド・アフマド(Qari Sayed Ahmad)師は4月に暗殺された。同紙が電話インタビューしたタリバンの中堅レベルの司令官によると、アフマド師の暗殺はオマル師の側近からの指令だったという。

 また5月にアフガニスタン東部ホースト(Khost)州で発生した一連の自爆攻撃は、前述のクエッタ・シューラによる指令だったと、米軍関係者はみている。(c)AFP