【6月20日 AFP】米軍は19日、アフガニスタン西部ファラー(Farah)州で5月に起きた戦闘の際、米軍の空爆で民間人少なくとも26人が死亡したとみられるとする調査結果を発表した。

 5月4日、同州ガルニ(Garni)村で起きた駐留米軍およびアフガン国家治安部隊(Afghan National Security ForceANSF)とイスラム原理主組織力タリバン(Taliban)との戦闘で、駐留米軍と地上部隊は戦闘規定に従って行動していた。だが米軍のB-1爆撃機による3回の空爆が戦闘規定の一部を順守していなかったために民間人の犠牲者が出たと、同調査は結論付けている。

 調査は民間人の死者を約26人としているが、死傷者の正確な数を知ることは不可能だとして、これより多い可能性も認めている。アフガニスタン政府は、この戦闘における民間人の犠牲者は140人に達したとしていた。

■航空支援で民間人が犠牲に

 調査によると、 ANSFは同州でタリバンから激しい攻撃を受けて身動きがとれなくなったため、米海兵隊の応援を要請した。米海兵隊は治安部隊支援と負傷兵後送のため空爆を要請。F/A-18戦闘機が特定の建物を目標に攻撃し、 この段階で民間人に犠牲者は出なかった。

 日没後、F/A-18を支援するためB-1爆撃機が出撃。500ポンド爆弾と2000ポンド爆弾を使用した3回の空爆を実施した。うち2回の空爆で民間人に犠牲者が出た可能性が高いと調査報告は指摘している。

■民間人の安全を最優先に
 
 調査報告は、アフガニスタン駐留米軍が民間人の犠牲者を出さないことを最優先する戦術の採用が不可欠だとしている。

 また民間人に犠牲者が出る可能性のある状況で空爆を実施する場合はもちろん、そのほかのすべてのケースでの戦闘規定の見直しと、アフガニスタンの関係省庁と協調した広報活動の強化、各地域のNGOとの綿密な協力関係の確立、民間人の犠牲者が出た恐れがある場合に速やかに対応する調査チームが必要だとしている。

 この事件を機にアフガニスタン国民の間に反米感情が激化し両国関係が緊張したため、米政府当局者はこの問題が及ぼす影響に懸念を強めていた。(c)AFP