【6月12日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナの「連邦テレビ(FTV )」は11日、 ボスニア内戦の大物戦犯で逃亡中のラトコ・ムラジッチ(Ratko Mladic)被告(67)が昨冬、家族とともにリゾート地でスキーを楽しんでいるとみられるビデオ映像を放映した。

 内戦時、セルビア人勢力の軍最高司令官だったムラジッチ被告は、1995年にスレブレニツァ(Srebrenica)でイスラム教徒約8000人の虐殺を直接指揮したとされ、ジェノサイドなどの罪で国連の旧ユーゴ国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)に起訴されているが、14年間にわたり逃亡を続けている。

 放映されたビデオに映ったムラジッチ被告は、以前公開された写真より年を取ってやせているものの、外見はほとんど変わっていない。同じくボスニア戦犯として逃亡していたセルビア人勢力指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告が2008年にベオグラード(Belgrade)で拘束された際、長髪と白いひげで医師に変装していたのとは対照的だ。

 FTVは、ムラジッチ被告がボスニアおよびセルビア国内にいる様子を映した1時間以上にわたる映像を入手したと主張。放映したスキーリゾートの映像は中でも最新のもので、「つい最近、おそらく前年の冬」に撮影されたとしている。

 映像は、動画共有サイト、ユーチューブ(YouTube)にも投稿されている。

 ムラジッチ被告はセルビア国内に潜んでいるとみられている。セルビア国民の一部はいまだにムラジッチ被告を英雄視しているが、欧州連合(EU)はセルビアのEU加盟の条件としてムラジッチ被告の拘束を求めている。

 セルビア政府のRasim Ljajic・ICTY協力担当大臣は直ちにベオグラード(Belgrade)で記者会見を開き、FTVが放映した映像は古いもので、前年12月に当局がムラジッチ被告の所有する家から押収し、今年3月にすでにICTYに提出済みの映像だと説明した。(c)AFP/Sabina Niksic