【6月1日 AFP】(一部修正)米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は1日、アフガニスタン国境に近いパキスタン領内で米軍の無人攻撃機が行ったミサイル攻撃で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)などイスラム教原理主義勢力の重要人物、約10人が死亡したと報じた。

 同紙が米軍関係者および情報筋の話として報じた内容によると、この攻撃と、パキスタン軍が北西辺境州(North West Frontier Province)スワト渓谷(Swat Valley)で実行中の軍事作戦により、パキスタン領内の山岳部に潜むアルカイダおよび同組織につながる勢力に動揺が起こっているという。死亡したとされる「重要人物」の身元などについては、明らかにされていない。

 米国のあるテロ対策担当高官は同紙に対し、アルカイダは依然として「深刻な潜在的脅威」としているものの、「(アルカイダ側の)損害は大きく、いたって深刻な不安感を抱いたようだ。こうした状況は(こちらにとっては)まったく悪いことではない」と述べた。

 また、ある米軍高官は、現状ではアルカイダ側は今後、たとえ周辺の状況について情報収集をすることだけが目的であっても、携帯電話やコンピューターを使ったより無防備な通信を行わざるを得なくなり、「そうすれば動きはさらに把握しやすくなる」と語った。

 しかし、米国の情報機関とパキスタンの地上軍が、アルカイダ側が姿を隠してしまう前にこの機会をとらえうるかどうかは不明だと、ワシントン・ポスト紙は論じている。同紙は、アルカイダの通信を傍受したり、原理主義勢力の動きを生かすことができるのは一瞬だと指摘している。

 一方、米軍の無人攻撃機プレデター(Predator)による攻撃ではこれまで、民間人の死者も出しており、パキスタン国内の反米感情をあおり、両国政府の協力関係を歓迎しない姿勢につながっているという。(c)AFP