【5月16日 AFP】スリランカの軍は15日、同国北部の狭い地域に追い詰められた反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(Liberation Tigers of Tamil EelamLTTE)は「徐々に戦闘を諦めつつある」と述べ、LTTEの鎮圧に自信を示した。 

 政府軍のウダヤ・ナナヤッカラ(Udaya Nanayakkara)報道官はAFPに対し、LTTEは手元に残っている弾薬を撃っているだけで、15日に約1万人の民間人が政府が支配する地域への脱出に成功し、LTTE支配地域にはほとんど誰も残っていないと述べた。

 またマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapakse)大統領も「17日朝までにスリランカ全土はLTTEから解放される」と述べた。

 スリランカ海軍は、ボートで逃げようとしていたLTTE海軍「シータイガー(Sea Tiger)」のソーサイ(Soosai)大佐の家族を拘束したと発表したが、LTTE指導者のベルピライ・プラバカラン(Velupillai Prabhakaran)議長の行方は分かっていない。

 LTTE自体は何も発表していないが、LTTE系のウェブサイト、タミルネット(Tamilnet)は15日朝から接近戦が続いていると伝えている。

 欧州連合(EU)は一連の戦闘で子どもを含む民間人に大きな犠牲が出ているとして、引き続きスリランカ政府に戦闘中止を求めている。フランスと英国も重火器を使用しないようスリランカ政府に書簡を送った。

 国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長はビジェイ・ナンビアール(Vijay Nambiar)官房長をスリランカに派遣したが、同国入りは16日遅くになる見込み。

 戦闘地帯で唯一活動している中立的な組織である赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross ICRC)は、現地スタッフが「想像を絶する人道的災厄を目撃した」としている。(c)AFP/Amal Jayasinghe