【5月16日 AFP】パキスタン軍がイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の掃討を目指して激しい攻撃を行っているスワト渓谷(Swat Valley)を中心とする同国北西部では15日、外出禁止令が一時解除され、数万人の住民が脱出している。

 国連(UN)は同日、ここ2週間で100万人近くの住民が戦闘地域から避難したとしている。一方、米大使館は、米国は避難住民の支援に2800万ドル(約27億円)を寄付すると発表した。

 一方、政府軍による爆撃や武装ヘリコプターによる攻撃に対して住民の間では軍を非難する声が高まっている。

 妻と2人の子どもを連れ、弾丸で穴だらけになった車で避難してきたスワト渓谷の中心都市ミンゴラ(Mingora)の銀行で働く男性は、政府軍の攻撃で自宅が破壊され、爆撃で家族4人を失ったと語り、政府への怒りをあらわにした。

 掃討作戦では完全武装した兵士4000人を含む最大1万5000人の部隊がスワト地区に展開している。政府軍によると、15日時点では20万人の住民がミンゴラにとどまっている。

 軍の発表を総合すると、これまでにスワト地区や、ローアー・ディール(Lower Dir)、ブネル(Buner)などでタリバンの戦闘員900人以上、政府軍兵士42人が死亡したとされている。民間人の死者数については発表されていない。(c)AFP/Jennie Matthew