【5月8日 AFP】(一部更新)パキスタンのユサフ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)首相は7日、テレビ演説で、2月に北西部の武装勢力と結んだ和平合意を破棄し、「テロリスト」を排除するよう軍に命じたことを明らかにした。

 ギラニ首相は、「母国の名誉と尊厳を回復するため、国民を守るため、軍に対して武装勢力とテロリストを排除するよう命令が下された」と述べ、国家の主権を脅かし和平合意に違反した過激派に対し、団結して立ち向かうよう訴えた。

 イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)が潜伏しているとみられる北西辺境州スワト渓谷(Swat Valley)では、空と地上から武装勢力の掃討作戦が激しさを増している。
 
 政府は2月、国内のタリバン系勢力との間で2年にわたって続いていた泥沼の戦いを終息させるため、北西辺境地域にイスラム法(シャリア)の導入を認めることなどを条件に、和平合意を結んだ。だが、この和平合意には激しい非難の声が上がっていた。

 州当局などによると戦闘の激化で、タリバン勢力が拠点を置くスワト地区からは続々と住民が徒歩や車で避難しており、15万人以上が仮設キャンプでの生活を余儀なくされている。赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)は、人道危機の拡大を警告した。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)打倒を目指すバラク・オバマ(Barack Obama)米政権は、パキスタンを対テロ戦線の拠点と位置づけ、タリバンは欧米諸国にとって最大の脅威だとして、武装勢力の掃討を求めパキスタン政府に多大な圧力をかけている。(c)AFP/Lehaz Ali