【4月19日 AFP】(一部更新)ベルギー政府は18日、人工島建設を手がけるヤン・デ・ヌルグループ(Jan de Nul group)のしゅんせつ船、ポンペイ(Pompei、1850トン)が、18日午前セーシェル(Seychelles)の北約150キロで海賊に乗っ取られたと発表した。

 ポンペイは現地時間の同日早朝、2度にわたり緊急信号を発信した後、連絡が取れなくなった。ベルギー船が海賊に襲われたのは初めて。

 ベルギーのヤーク・ラース(Jaak Raes)危機管理センター長はブリュッセル(Brussels)で記者会見し、現場海域の最も近くにいるスペインの海軍艦艇が現場海域に到着するのは19日になると述べた。

 偵察したスペイン海軍のヘリコプターによると、ポンペイは海賊のものと思われる小型ボート多数をえい航して、約700キロ先のソマリア沿岸に向かっているという。

 ラース氏は「現在のところ、われわれは船がどのような経路をたどるのか情報収集にあたっている。人命を最優先する」と述べた。

 ポンペイの船長はオランダ人。船員はベルギー人2人、フィリピン人3人、クロアチア人4人だという。

■オランダ海兵隊はタンカー襲撃を阻止

 一方、オランダの海兵隊は18日、ギリシャの海運会社が所有するマーシャル諸島(Marshall Islands)船籍のハンディタンカーズ・マジック(Handytankers Magic)号を襲おうとした9人の海賊を短時間拘束したのちに釈放した。

 NATOの海賊対処作戦に参加しているポルトガルのフリゲート艦、コルテ・レアル(Corte Real)に乗艦中のアレクサンドル・フェルナンデス(Alexandre Fernandes)少佐はAFPに「今朝、海賊に追われたハンディタンカーズ・マジックからの支援要請を受け、NATOの海賊対策に参加しているオランダ艦艇を急派した」と語った。

 当時、NATOの海賊対処作戦「アライド・プロテクター(Allied Protector)」に参加中のオランダのフリゲート艦が16キロほど離れた位置で4隻の商船を護衛していた。

 オランダ国防省の広報官は、海賊は前週奪ったアラブの伝統的な船であるダウ船からタンカーを襲ったと発表した。タンカーの襲撃に失敗した海賊は小型ボートでダウ船に逃げたが、近くにいた英海軍艦艇が介入し、NATOの命令を受けたオランダ海兵隊がタンカーに乗り込むまで海賊に銃を向けた。

 この広報官によればダウ船には海賊9人とイエメンの漁師16人が乗っていた。オランダ海兵隊はAK47ライフル7丁と、ロケットランチャー1台を押収して破壊した。

 広報担当者によると、NATOが海賊容疑者を逮捕する法的枠組みがないため、海賊の容疑者はNATO部隊の指揮官の命令によって釈放された。容疑者らは自分たちのボートに乗せられ、漁師たちは帰路についたという。(c)AFP