【4月12日 AFP】ソマリア沖で8日午前 (日本時間同日午後)海賊に襲われた米国船籍の貨物船マースク・アラバマ(Maersk Alabama)号(1万7500トン)が11日、目的地であるケニアのモンバサ(Mombasa)港に入港した。同船を運行するマースク・ライン(Maersk Line)のジョン・ラインハルト(John Reinhart)社長が米バージニア(Virginia)州で記者会見して明らかにした。

 ラインハルト社長によると米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)は、同船を犯罪現場とみなしているため、乗組員は当面下船できないという。

 4人の海賊にとらわれ、現在救命ボートでソマリア沖約32キロのアデン湾(Gulf of Aden)を漂流中のリチャード・フィリップス(Richard Phillips)船長はまだ解放されていない。現場に派遣された米海軍艦艇は救命ボートの監視を続けている。

 米CNNは米海軍が11日、海賊と交渉するため救命ボートに向けて少人数の部隊を送ったが、海賊が発砲してきたため引き返したと伝えた。救命ボートに乗った海賊は11日、武力でフィリップス船長を解放しようとする試みは惨事を招くだろうと警告した。

 海賊の根城になっているソマリア北部Eylのある海賊の船長はAFPに電話で、海賊側はフィリップス船長を救命ボートからソマリア沿岸の海賊船に移動させる準備をしていると述べた。

 マースク・アラバマ号は国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)の援助物資である食糧5000トン以上を積んでいる。WFPは12日にも荷降ろしが始まるとしている。(c)AFP