【2月9日 AFP】(写真追加)アフガニスタン旧支配勢力タリバン(Taliban)の傘下組織でパキスタンに拠点を置くTehreek-e-Taliban PakistanTTP)は8日、同国北西部で前年9月に拉致したポーランド人技師の首をはねるビデオを公開した。パキスタンで収監されているメンバーの釈放に、同国政府が応じなかったためとしている。これに先立って7日、TTPの広報担当が、技師を殺害したと発表していた。

 ポーランドのエネルギー関連企業に勤務するピョートル・スタンチャック(Piotr Stanczak)さんは2008年9月28日、パキスタン北西部のアトック(Attock)で武装した男たちに拉致された。事件当時一緒だった運転手2人とボディガードは、その場で射殺された。

 北西部ペシャワル(Peshawar)にいるAFP特派員が確認したビデオには、カーキ色の民族衣装を着たスタンチャックさんが、敷物の上にあぐらをかいて座らされている様子が映っていた。

 スタンチャックさんは、武装組織が行った幾つかの質問に英語で短く答え、ポーランド政府に対し、アフガニスタンに駐留する同国軍1100人を撤退させるよう訴えた。

 画面が切り替わると、スタンチャックさんは同じ場所に座っていたが、目隠しをされていて、背後に立つ2人の男が自動小銃をスタンチャックさんの頭部につきつけていた。続いて、覆面をした男がスタンチャックさんの首をナイフではねる様子が映されていた。

 覆面の男はその後、スタンチャックさんを殺害したのは仲間が釈放されなかったからだと主張。拉致した他の外国人人質も同じ運命をたどるだろうと警告した。

 ビデオに写っていた黒い横断幕には、「Tehreek-e-Taliban Pakistan: Darra Adam Khel」と書かれていた。ダラアダムケール(Darra Adam Khel)はペシャワル近くの町で、アフガニスタンとの国境沿いの部族地域にある。

 パキスタンではここ数か月、外国人を狙った誘拐事件が相次いでおり、前週には南西部のクエッタ(Quetta)で国連難民高等弁務官事務所(UN Refugee AgencyUNHCR)の米国人職員1人が武装勢力に拉致されている。(c)AFP/S.H. Khan