【1月26日 AFP】(一部更新)スリランカ政府軍は25日、反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(The Liberation Tigers of Tamil EelamLTTE)」が支配する最後の拠点都市、北東部ムライティブ(Mullaittivu)を制圧した。サラス・フォンセカ陸軍司令官がテレビ放送を通じて明らかにした。

 これにより、都市部の拠点を全て失ったLTTEは、ムライティブ北部沿岸のジャングル地帯に撤退したとみられる。LTTEは2日に独自の警察、司法、金融機関を置いて政治拠点としてきたキリノッチ(Kilinochchi)を政府軍との戦闘で失っており、今後の大幅な劣勢化は避けられない状況だ。

 フォンセカ司令官は「政府軍はムライティブを完全に掌握し、(LTTE掃討作戦)任務の95%を達成した。われわれの勝利は確実で、『テロリズム』の最期も近い」と語った。国防省も、12年間LTTEの支配下にあったムライティブの奪回は、LTTEとの戦いにおける大きな節目だと称賛する声明を発表した。

 フォンセカ司令官によると、ムライティブに近づくには40キロメートルにおよぶジャングル地帯を通過する必要があり、さらにLTTEが土塁を構築していたため、政府軍が同市を制圧するまでに1年を要したという。

 一方、LTTEは現在、15万人ほどの市民を人質にとって、幅15キロ、長さ20キロほどの狭い地域に立てこもっているとみられる。

 こうしたことから、平和使節としてスリランカに派遣されている元国連事務次長の明石康(Yasushi Akashi)日本政府代表は25日、市民への影響への懸念を示し、LTTEに市民の安全を保証するよう求めるとともに政府に追加物資支援を要請した。

 政府軍は、2日にLTTEの主要政治拠点、キリノッチを奪回した後、LTTE指導者のベルピライ・プラバカラン(Velupillai Prabhakaran)議長の身柄確保をめざしていたが、同議長の所在はわかっておらず、フォンセカ司令官は前週、同議長は船で国外に脱出したとの見方を示している。これをうけ隣国のインドやマレーシアは、プラバカラン議長の密入国を阻止対策を導入した。

 現在のところ、ムライティブ制圧に対するLTTE側の声明は出ていない。(c)AFP/Amal Jayasinghe