【12月16日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)で、記者会見中のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領に靴を投げつけたイラク人のムンタゼル・ザイディ(Muntazer al-Zaidi)記者をたたえ、記者の釈放を求める声が高まっている。

 エジプト・カイロ(Cairo)に拠点を置くイラクの独立系テレビ局、アルバグダディヤ(Al-Baghdadia)に勤務するザイディ記者の同僚らは、同記者は米国を嫌悪しており、イラク開戦を宣言したブッシュ大統領に対する何らかの仕打ちを数か月も前から考えていたと話す。

 ヨルダンのアルガド(Al-Gahd)紙記者も、「靴を投げつける行為は、ブッシュ大統領への最高の別れの投げキスだ。イラクやアラブの人びとが、いかに同大統領を憎んでいるかの証明だ」と書いている。

 一方、イラク政府はザイディ記者の行為を「恥ずべきことだ」と非難し、アルバグダディヤに謝罪を求めた。

 しかし、アルバグダディヤ側は「米政府がイラク人民に約束した民主主義と表現の自由」に基づき、同記者を釈放するよう要求。「ザイディ記者に対するいかなる処罰も、独裁政権による行為とみなす」と、強気の構えだ。

 さらに、処刑されたサダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の弁護を務めたハリル・ドレイミ(Khalil Al-Dulaimi)氏がザイディ記者の弁護団参加者を募ったところ、米国人を含む弁護士200人あまりが無報酬での弁護を申し出たという。

 ドレイミ氏は、ザイディ記者が靴を投げたことについて「イラクやアフガニスタンで200万人も殺した暴君犯罪人のブッシュに対して、イラク人が出来るせめてもの反発行為だった」と理解を示した。ドレイミ氏は、イラクが米国の占領下にある事実や、靴を投げることを含め、あらゆる抵抗行為は合法であることを根拠に、同記者を弁護するという。

 ザイディ記者の「靴投げ」をきっかけに、イラク各地でもブッシュ大統領の任期中、最後となるイラク訪問に対する抗議デモが拡大している。(c)AFP/Karim Talbi