【12月9日 AFP】アフガニスタンで旧支配勢力のイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)が同国全土の7割以上を影響下におき、首都カブール(Kabul)に対しますます大きな脅威を及ぼしていると警告する報告書を、国際シンクタンク「インターナショナル・カウンシル・オン・セキュリティ・アンド・ディベロップメント(International Council on Security and DevelopmentICOS)」が8日、発表した。

 報告書によると、タリバンはアフガニスタン南部を本拠地として、西部や北西部の地域に勢力網を拡大。タリバンが「恒久的に勢力を確立した地域」は、前年の54%から大幅に拡大し、アフガニスタン全土の72%としている。また、タリバンはすでに首都カブール北部の地域まで迫っており、首都自体にも脅威が増しつつあるという。

 さらに報告書は、カブールにつながる幹線道路の多くが、タリバンによる攻撃の深刻な脅威にさらされていると警告した。

 ICOSは、「恒久的に勢力を確立した地域」の定義を、タリバンが週1回以上、攻撃を行う態勢を備えた地域としている。

 アフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)による掃討作戦にも関わらず、タリバンが勢力を増している現状について、ICOSの報告書は、「欧米の対タリバン戦略よりも、タリバンの政治、軍事、経済戦略が成功していることの現れ」とまとめている。

 一方、アフガニスタン政府は、ICOSの報告書を真っ向から否定。外務省は、「タリバンの勢力分布に関するICOSの主張を、断固として否定する」との声明を発表した。

 声明のなかで、アフガニスタン政府は、ICOSの分析方法には疑問があるうえ、タリバンの散発的なテロ行為がメディアの関心をひくための戦略であることを、報告書は理解していないと批判。また、タリバンの武力攻撃が確認されているのは、南部や東部、パキスタンとの国境付近など、ごく限られた地域だけだと言明した。(c)AFP