【12月7日 AFP】死者160人を出したインド・ムンバイ(Mumbai)での同時襲撃事件のさなか、インド外相の名をかたった何者かがパキスタン大統領宛てに「襲撃グループの背後にいる者を引き渡さなければ、パキスタンへの軍事行動も辞さない」と電話をかけ、パキスタン政府が一時、厳戒態勢を取っていたことが6日、パキスタン各紙の報道で明らかになった。

 パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領宛てに電話をかけた人物は、インドのプラナブ・ムカジー(Pranab Mukherjee)外相の名前をかたった。当時はまだムンバイを襲撃した武装グループが、インドの治安部隊と交戦中だった。

 一方、ムカジー・インド外相は7日、偽電話に関する報道は襲撃事件に関する責任追及の矛先をそらす試みだとして、パキスタンの報道を非難した。同外相は「わたしはそのような電話をかけたことはない」とまず述べ、虚偽の電話だったことをインド政府では至急明確にしたと説明した。

 その上で「パキスタン領内からやって来たテロリスト・グループが、ムンバイでの恐ろしい攻撃を計画・実行したという事実から注意をそらしたがっているパキスタン内の者たちが、一連の出来事を起こしていると言うしかない」と述べ、報道に不快感を示した。

 問題の電話に対し、パキスタン側はインド軍による攻撃に備え、空軍を待機させたという。この電話によって外交活動にも混乱が生じた。

 核保有国である両国間の対立が戦争へ発展する事態を世界の指導者たちが恐れるなか、ムカジー外相はパキスタン側が「そんないたずら電話に基づいて行動を検討すること自体が懸念材料だ」と述べた。(c)AFP/Salil Panchal