【11月30日 AFP】戦車やグレネードランチャー、弾薬などを積んだまま9月にソマリアの海賊に乗っ取られたウクライナの貨物船「MV Faina」号について、海賊側は30日、解放についての条件が合意に達したことを明らかにした。

 海賊側の声明発表を担当するSugule Aliと名乗る人物はAFPの取材に船上から応じ、解放までに残されているのは「方法とタイミング」の問題だけだと述べた。この人物は「身代金の額は言えないが、最終合意に至ったとは言える。われわれは4日以内に船を離れなければならない。われわれのメンバーの安全な上陸に向けて準備している。問題の解決を確信しているし、(船の)所有者たちは、最後に残った点も尊重してくれると期待している」と述べた。

 9月25日、ケニアに向かう途中で乗っ取られた同船には、旧ソ連製戦車33両のほか、防空システムやロケットランチャー、弾薬などを積載し、ウクライナ人17人、ロシア人3人、ラトビア人1人の乗組員が乗り込んでいた。

 海賊側によると「自分たちのメンバーも船員たちも非常に疲れており、全員が問題の解決を望んでいる」という。また自分たちの今回の措置は「非常に寛大なものだが、それはこの地域のコミュニティ、特に長老たちに、船を解放するよう強く迫られたからだ」とも明かした。

 乗っ取られたMV Faina号の上空からは、米軍機が数回にわたり、ブリッジ部分に集められていた乗組員たちの写真を撮影し、全員の健康状態が良好なことを確認している。

 MV Faina号はソマリアの首都モガディシオ(Mogadishu)の北、海賊たちの巣窟といわれるハラデレ(Harardhere)沖数キロの地点で何度か位置を変えながら停泊していた。

 25日に海賊側は身代金の要求額を、800万ドル(約7億6400万円)から300万ドル(約2億8700万円)に下げたことを明らかにしていた。当初は3500万ドル(約33億4300万円)を要求していた。

 一方、今回の乗っ取り事件により、積載されていた武器の輸出先に関心が集まった。ケニアは自国に輸出されたものだと主張しているが、複数の海事当局や周辺国の外交筋は、武器はスーダンで行政上の自治権を得ている「南部スーダン」向けだったとみている。(c)AFP