【11月30日 AFP】195人の命を奪ったムンバイ同時襲撃事件に巻き込まれながら、生還を果たした男性が29日、恐怖の体験を米テレビCNNのインタビューで語った。

 欧州議会(European Parliament)の英国代表を務めるサジャド・カリム(Sajjad Karim)氏は、惨劇発生時に偶然タージマハル・ホテル(Taj Mahal Hotel)の外にいた。

 英マンチェスター(Manchester)でインタビューに応じたカリム氏は、「あんな状況に巻き込まれる日が来るとは夢にも思わなかった。惨劇はあっという間に起きた」と話した。

 そのとき正面玄関の前に立っていたカリム氏は、「男は、突然私たちの前に現れた。わたしの全神経は、彼ではなく彼が手にしている銃に集中した」と述べ、その男について、「南アジア風の若者だった」と語った。

 男は、銃を乱射し始める瞬間に「笑みを浮かべていた」という。

「入り口付近にいた人たちは一斉にホテルの中に駆け込んだ。ある女性は片足を引きずっていたが、見ると足から血がしたたっていた」とカリム氏は回想した。

 一旦メインロビーに避難した人びとは、ホテルの裏口を目指して走ったという。

「振り返り、立ち止まることはしなかった。銃声がずっと大きくなったので、武装グループが追ってきたことは明らかだった」とカリム氏は語った。

「みな極度のパニックに陥り、怒号と悲鳴が交錯していた。しかも裏口にたどり着くと、私たちの15メートルほど前に別の男が突然立ちふさがった。男は自動小銃をわれわれに向けると引き金を引いた」

 周囲の人びとで銃で撃たれた人がいたかについて、カリム氏は語らなかった。カリム氏は宿泊客ら40-50人と共に、夜10時から朝6時までホテルの一室にこもると室内でバリケードを築き、その後ようやくインド軍兵士に救助されたという。(c)AFP