【11月29日 AFP】(一部更新)インド・ムンバイ(Mumbai)で起きた同時襲撃事件は、発生から58時間が経過した29日朝も、武装グループが立てこもるタージマハル・ホテル(Taj Mahal Hotel)では治安部隊との間で激しい銃撃戦が続き、爆発音とともに大きな炎が上がっている。

 治安部隊によるとホテル内には3人の武装グループが残り、最後の抵抗をしているとみられるが、市警察当局は現地時間午前8時(日本時間同11時半)過ぎ、さらに2人の武装グループを治安部隊が射殺したとAFP特派員に話した。

 現場のAFP特派員によると、ホテル内の戦闘はしばらく落ち着きを見せていたが、午前4時ごろから再び銃声や爆発音が激しくなり、7時半ごろにはホテルの1階と2回から大きな炎が噴きだした。

 治安部隊によると、現在も武装グループが立てこもっているのは同ホテルのみで、内部には3人ほどの武装グループが残り、最後の抵抗をしているとみられる。これまでに武装グループ9人の死亡が確認され、1人が逮捕された。

 インド情報筋は、逮捕された男はパキスタンから入国したと供述していること、武装グループが襲撃したホテルの1つに武器と爆発物をあらかじめ隠していたことなどを明らかにした。武装グループはボートで乗りつけたチームと、事前にムンバイ市内に潜伏して武器類を準備していたチームに分かれていたとみられる。

 複数のインド当局筋は、武装グループについて、パキスタンのイスラム過激派「ラシュカレトイバ(Lashkar-e-Taiba)」の戦闘員だとの見方を示している。

 また、英政府は28日、国内メディアがインドNDTVの報道として、武装グループの中に英国人が含まれていると報じたことについて、事実関係を確認中とのコメントを出した。インド側から英国人が関わっていたとの情報は伝えられていないとしている。

 インドの国内メディアは、襲撃を予測できなかったとしてインド情報当局をこぞって非難。英字紙インディアン・エクスプレス(Indian Express)はマンモハン・シン(Manmohan Singh)首相が外交政策の緩和と経済発展に「気を取られて」いたことに「特に責任がある」と、名指しで糾弾した。

 一連の襲撃事件では、現地報道などによるとこれまでに155人が死亡。このうち外国国籍はイスラエル国籍が数人、米国籍が5人、フランス国籍が2人、日本、ドイツ、カナダ、イタリア、オーストラリア、シンガポール国籍およびキプロス系英国人が各1人となっている。(c)AFP