【11月28日 AFP】インド・ムンバイ(Mumbai)で起きた同時襲撃事件で死亡したキプロス系英国人が、死亡する数時間前に英国放送協会(BBC)の電話インタビューを受け、襲撃事件当時の様子を語っていた。

 ムンバイの同時襲撃事件では、125人以上が死亡しているが、英外務省は27日、英国人1人が死亡したと発表した。また、キプロス外務省は、死亡した英国人は1963年にロンドン(London)に移住したヨット業界の大物、アンドレアス・リベラス(Andreas Liveras)さん(73)だとする報道を確認した。

 キプロス通信(Cyprus News Agency)は、リベラスさんの兄の話として、リベラスさんは襲撃事件の現場の1つであるタージマハル・ホテル(Taj Mahal Hotel)のレストランで夕食をとっている時にほかの客らとともに身柄を拘束され、「テロリストの攻撃中によって冷酷に殺害された」と伝えた。

 ムンバイからのニュースが伝えられるようになる前、リベラスさんは、現場からBBCの電話インタビューに応じていた。リベラスさんはBBCのインタビュアーに対し、タージマハル・ホテルのレストランがムンバイ一だと聞いていたとした上で、「テーブルについたとたんに機関銃の発砲音があちこちから聞こえてきた」と語った。

 リベラスさんは「われわれがテーブルの下に身を隠したら、すべての照明が消えた。だが、機関銃の発砲音は止むことなかった。われわれは台所を通って地下室に向かって、そこから大広間に上がった」と語った。大広間には宿泊客や旅行者、地元住民など「1000人以上」がいたという。

「われわれは隠れているわけではなく、ここに閉じこもっている。誰も何も教えてくれないが、ドアはロックされていて、われわれは部屋の中にいる。ホテルの従業員もここにいる。彼らは水やサンドイッチを持ってきてくれたりして、とてもよく世話をしてくれている。だが、みんなおびえていて、まともに食べている人はいない」

 リベラスさんはインタビュー中のホテル内の様子について、「今はとても静かだ。最後に爆弾が爆発したのは45分前だ。ホテル全体が揺れるほどの衝撃だった。誰もここから出て行かないし、誰も入って来ない。われわれはどういう状況かまったく分からない」と語っていた。(c)AFP