【11月27日 AFP】(写真追加、一部更新)インドの金融中心地ムンバイ(Mumbai)で26日夜、鉄道駅や5つ星クラスのホテルなど少なくとも7、8か所で、銃や手りゅう弾で武装したグループによる銃撃や爆破がほぼ同時に発生した。地元メディアによると、死者は27日午前中までに約100人に上っている。

 PTI通信(Press Trust of India)はマハラシュトラ(Maharashtra)州当局者の言葉として、約100人が死亡と伝えた。また地元テレビNDTVも100人が死亡、110人が負傷したと報じている。

 この事件で、日本外務省は27日、死亡した約80人の中に日本人1人が含まれていることを明らかにした。外務省邦人テロ対策室が、これまでに日本人1人が死亡、1人が負傷したことを確認。詳細を現地の総領事館が確認中だが、負傷した日本人については、命に別状はないという。

 PTI通信(Press Trust of India)によると、「デカン・ムジャヒディン(Deccan Mujahedeen)」と名乗るグループが複数のメディアにEメールで犯行声明を出した。
 
 武装グループは市内の高級ホテル2か所に宿泊客らを人質に立てこもっており、現地時間27日午前9時(日本時間同11時半)現在も、対テロ部隊との間で銃撃戦が続いている。人質の人数は不明。

 また市内のオフィスビル・ナリマンハウス(Nariman House)でも、武装グループがユダヤ人ラビ(ユダヤ教聖職者)とその家族を人質に取って立てこもっているという。

■市内各地で襲撃相次ぐ、ホテルからは炎も

 ムンバイ鉄道警察当局によると、現地時間午後10時半(日本時間午前2時)ごろ、カラシニコフ銃で武装した複数の男がチャトラパティ・シバジ(Chhatrapati Shivaji)駅の構内に乱入。銃を乱射し手りゅう弾を爆発させ、少なくとも10人が死亡した。

 市内有数の2ホテル、タージマハル(Taj Mahal)ホテルとトライデント(Trident)ホテルも標的となり、銃で武装した複数の男が外国人宿泊客を人質に取り、警官と銃撃戦となった。

 タージマハルホテルでは、27日未明に海軍の特殊部隊が突入、その後ホテル上部階から出火した。テレビの中継画面には窓などから人質が救出される様子が映し出されている。警察によると、これまでに武装グループのメンバー2人を殺害したが、まだ内部に少なくとも2人が立てこもっているという。

 トライデントホテルでも、少なくとも2人が立てこもっているとみられる。

 そのほか、ムンバイ南部のCama病院や、観光名所のレストラン「Cafe Leopold」でも襲撃があったことが報告されているほか、警察によると市南東部のタクシー内で「爆弾が爆発」し、3人が死亡した。車に乗った武装グループが市内を走り回り、銃を乱射したり手りゅう弾を投げたりしたとの目撃証言もある。

■英米人が標的か、犯行グループには若い男

 襲撃時にタージマハルホテル内にいた英国人宿泊客は地元テレビに対し、武装グループのメンバー2人が宿泊客を上部階に移動させたが、この2人は「とても若く、少年のような外見をしていた。ジーパンにTシャツ姿だった」と証言した。この宿泊客によると、武装グループは英国または米国のパスポートを持っている客を探していたという。

 武装グループが英国人と米国人を選別していたという点は、トライデントホテルの宿泊客も証言している。同ホテルから脱出した英国人ビジネスマンは、スカイ(Sky)ネットワークの取材に、犯人らが「宿泊客を1人ずつ呼びとめ、両手を挙げさせて英国人と米国人がいないか確認していた。友人が『ヒーローになる必要はない、英国人だとは言うな』と忠告してくれた」と語った。

 タージマハルホテルには、スペイン・マドリード(Madrid)州のEsperanza Aguirre州知事と英国のSajjad Karim欧州議会(European Parliament)議員が滞在していたが、2人とも無事に脱出している。(c)AFP