【11月24日 AFP】海賊による襲撃事件が後を絶たないソマリア沖で乗っ取られ、最近解放された日本の海運会社所有の化学タンカー、「Stolt Valor」号のインド人乗組員らが24日インドのムンバイ(Mumbai)で記者会見し、「海賊たちは金銭だけを目当てとする銃を持ったドラッグ中毒者だった」と証言した。

 9月15日に乗っ取られた際、Stolt Valor号にはインド人18人、フィリピン人2人、ロシア人とバングラデシュ人各1人の乗組員22人が乗り込んでおり、11月15日に解放されるまで拘束されていた。解放にあたって身代金として約250万ドル(2億4000万円)が支払われたとみられている。

 インド人船員のうち4人は、同船が解放後向かったオマーンから24日早朝、空路ムンバイに到着した。残る14人も25日に帰国する予定だ。

 24日到着したなかの3人はムンバイで会見し、海賊の一味は約30人で、襲撃時には高速ボートから携行式ロケット弾(RPG)を発射してきたと述べた。

 研修生として乗り込んでいたNaveed Burombkaさん(20)は「最初、相手はRPGを撃ってきたが、われわれの船まで10-15メートルのところで落ちた。その後、海賊たちは乗り込んできて、船の上から発砲した。誰も何が起きているのか分からなかった。彼らは自動小銃、RPG、スタンガンを持っていた」と語った。

 給仕長のAllister Fernandesさん(25)は、四六時中銃を突きつけられ、船員たち全体に恐怖が広がったと述べた。海賊たちは身元をまったく隠そうとしなかったという。「22人全員がずっとブリッジにいなければならなかった。眠るのもそこで容赦なしだった。何をするにも彼らの許可が必要だった。祈ることでどうにか生き延びた」

 Burombkaさんによると、海賊のなかの1人が身代金交渉を受け持ち、船長には最新の状態が知らされた。海賊は近くにいるほかの武装グループとも連絡を取り合っているようだったという。Burombkaさんは、身体に傷を負った人質はいなかったが「精神的な拷問だった」と述べた。(c)AFP/Phil Hazlewood