【11月3日 AFP】マイク・マコネル(Michael McConnell)米国家情報長官は10月30日、米テネシー(Tennessee)州ナッシュビル(Nashville)で行われた情報関係者らによる会合で講演し、世界は、富と経済力が西から東へ移動するというこれまでにない事態の中で、今後20-30年の間に紛争の危機が高まるだろうと語った。

 マコネル長官はまた、将来的に、不足する食料・燃料に対する需要の高まりや新技術をめぐる戦略的競争、大量破壊兵器の拡大などが起こるとの見通しを示した。

 マコネル長官は、2025年の世界を中国やインド、ブラジルなどによって形成される多極化社会と表現。この3か国の経済は、その時までに欧米の先進国に匹敵する規模になると指摘した。

 マコネル長官は「規模やスピード、方向性などの点を見て、世界の富と経済力の移動が現在、進んでいる。西から東へ移動するというのは近代の歴史上前例のないことだ」と語った。さらに、今後、領土拡張や軍拡競争が起こる可能性は低いものの、完全には排除できないとした上で、石油が不足しているという認識が国家間に紛争を引き起こす可能性があると語った。

 中国について、マコネル長官は「今後20年のうちに、世界に最も影響を与える国家になろうとしている」とし、2025年までに世界第2位の経済大国になり、強大な軍事力も保有している可能性があると語った。また、世界最大の天然資源輸入国で、世界最大の環境汚染国家になるとも指摘している。

 マコネル長官は「貿易や人口動態、天然資源へのアクセス、投資、技術革新などの分野で、戦略的競争が起こるだろう。また、政治的優位を確立するために、科学技術の発展をめぐる争いが激しくなるだろう」との見解も示した。

 マコネル長官によると、中国やインド、ロシアなどの新興国以外の地域についても、将来的に食料や燃料、そのほかの資源で、需要が供給を上回るとの見通しを示した。また、米情報機関が、36か国14億人が飲料水や農業用水を入手できなくなる可能性があると見積もっていることを明らかにした。(c)AFP/Jim Mannion