【11月1日 AFP】パキスタンの治安関係者は1日、米国が31日夜にパキスタンの北ワジリスタン(North Waziristan)で行ったミサイル攻撃で、イスラム武装勢力アルカイダ(Al-Qaeda)のプロパガンダの責任者とみられるエジプト人、アブ・ジハード・マスリ(Abu Jihad al-Masri)容疑者が殺害されたことを明らかにした。

 匿名のパキスタンの治安当局幹部がAFPに語ったところによると、ミサイルはマスリ容疑者ら3人を乗せた自動車に命中し3人全員が死亡したという。米国はマスリ容疑者の殺害・拘束に100万ドル(約9850万円)の懸賞金をかけていた。米軍とパキスタン軍は今のところマスリ容疑者の殺害を正式に確認していない。

 この数時間後にパキスタンの南ワジリスタン(North Waziristan)のワナ(Wana)でもミサイル攻撃があり、武装勢力12人が死亡、30人が負傷した。パキスタンではこの数週間米軍による攻撃が相次いでおり、米パ関係は緊張している。

 マスリ容疑者は、アルカイダのビデオに何度が登場しており、2006年にはオサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者に次ぐ地位にあるとされるアイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者とともにビデオに登場し、自分が率いるイスラム武装勢力のグループがアルカイダと合流したと発表した。また2006年にはイスラム教と暴力を結びつける発言をしたローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)を批判するメッセージをインターネットで公開したこともある。

 パキスタン軍の情報筋は、マスリ容疑者の担当は主にイデオロギーで、アルカイダの作戦にはあまり関与していなかったとみている。(c)AFP/Rana Jawad