【10月16日 AFP】カンボジアの世界遺産プレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)付近のタイとの国境付近で、寺院周辺の領有権をめぐって軍部隊が対峙しているタイとカンボジア両国の軍司令官は16日協議を行い、この地域で共同パトロールを行うことで合意した。タイ軍高官が明らかにした。

 前日の15日には、プレアビヒア寺院周辺で3か月前からにらみ合っていた両軍の間で銃撃戦が発生し、カンボジア兵2人が死亡、タイ兵7人が負傷した。

 カンボジア軍の司令官と5時間に及ぶ協議を終えたタイ軍の司令官は「戦闘の再発を防ぐため、共同パトロールを開始する方向で一致した」と語った。

 タイ軍の司令官によると、協議は終始良い雰囲気の中で行われたが、こう着状態の終結や国境地帯からの撤退に関して踏み込んだ議論はなされず、両軍は現状の配備を続けることで合意したという。また同司令官は、タイ軍が国境沿いに配備した兵器を引き揚げる予定はないと語った。

 21日には軍幹部による協議がカンボジアのシエムレアプ(Siem Reap)で再開される見込みだが、同司令官は「タイ側は約束を守っているが、カンボジア側がそれを破れば再び交戦となるだろう」と述べ、さらなる戦闘の可能性も警告した。

 一方、同地域に駐留するカンボジア軍の司令官は、協議の結果について「発砲しないこと、両部隊とも配備を続けることで合意した」と語った。(c)AFP