【9月28日 AFP】ソマリア中部沖で外国の軍艦数隻が、ソマリアの海賊に乗っ取られた、兵器を輸送中のウクライナの貨物船を包囲している。ソマリア政府高官や目撃者が語った。

 ケニア軍向けの戦車やグレネードランチャー、弾薬などを積んだ「MV Faina」号は25日、ケニアのモンバサ(Mombasa)港に接近したところを海賊に乗っ取られた。同船には、ウクライナ人17人のほかにロシア人3人、ラトビア人1人の21人が乗り組んでいた。

 26日には、ロシア海軍が、「海賊によるロシア国民などに対する襲撃の増加」に対応するとして、同海域へフリゲート艦ネウストラシムイ(Neustrashimy)を派遣した。

 27日には、海事関係者の話として、ソマリアの海賊がウクライナの貨物船を解放する代わりに3500万ドル(約37億円)の身代金を要求しているとの報道もなされた。

 ソマリア北東部の自治政府プントランド(Puntland)のBile Mohamoud Qabowsade大統領顧問によると、軍艦3隻が海賊を追跡しており、軍艦のうち2隻は乗っ取られた船に非常に近い位置にいるという。また、軍艦3隻のうち1隻は米軍艦艇で、2隻は欧州連合(European Union)の国からだと述べた。AFPが英・仏・独、各国の国防省に問い合わせたところ、いずれも自国の艦船ではないと回答した。

 モガディシオの北410キロにあるHarardhereで漁業を営む現地の部族長は28日、AFPに対し、ウクライナの貨物船が、少なくとも2隻の船に包囲されているのを目撃したと述べたが、国籍まではわからなかったという。

 また、地元の長老によると、海賊は現在、(HarardhereとHobyo港の間にある)Hinbarwaqo村付近で、欧米の船団に包囲されている。欧米の軍艦は、ウクライナの貨物船の乗っ取りに関与した者らに対し、軍艦内での交渉を呼びかけているという。

 軍艦は拡声器を使用し、海賊らに対して積荷を一切下ろさないよう警告しているという。今のところ、海賊側は交渉の呼びかけに応じていない。(c)AFP