【8月9日 AFP】グルジアが分離・独立を求める南オセチア自治州への攻撃を開始したこと受け、ロシア軍は8日、同自治州に戦車を含む地上軍を派遣、両国の武力衝突が激化している。

 ロシアの複数の通信社は同日夜、自治州の州都ツヒンバリ(Tskhinvali)南郊でロシア軍がグルジア軍と激しい戦闘を行ったと報じた。グルジア側はロシア空軍機による空爆を受けたと発表した。

 グルジアのミハイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)大統領は8日、テレビ演説で「グルジア軍は一部地域を除き南オセチア自治州全域を支配し、ツヒンバリを掌握した」と述べたが、直後に南オセチア自治州はこれを否定した。

 サーカシビリ大統領はグルジア側の犠牲者が30人に上ったとしているが、分離派政府のエドゥアルド・ココイトイ(Eduard Kokoity)自治州大統領はグルジアの死者数が1400人を上回ると主張した。

 ロシア軍は声明で、グルジア軍の攻撃でツヒンバリに展開するロシアの平和維持部隊兵士10人が死亡したと発表した。

 AFPの取材に応じたあるグルジア政府高官は、ロシア空軍による空爆に備え首都トビリシ(Tbilisi)では政府関係者が官庁や政府施設から避難したことを明らかにした。

 別のグルジア政府関係者によると、ポチ(Poti)港やセナキ(Senaki)の鉄道施設と飛行場ほかグルジア各地の軍事施設、飛行場、港湾などがロシア空軍機の空爆を受けたという。

 米国のコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官は声明を発表し、「ロシアはグルジアの領土保全を尊重すべきだ。空軍やミサイルによるグルジアへの攻撃停止と地上軍の撤退を求める」と呼び掛けた。

 グルジアのゴリ(Gori)では、軍服姿のグルジア兵十数人が軍病院に収用されるのが目撃された。赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)は、自治州ツヒンバリの病院に負傷者があふれていると述べた。(c)AFP/Amelie Herenstein