【7月14日 AFP】(写真追加)米国とイラクは、イラク駐留米軍の地位協定をめぐる交渉に関し、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の任期切れ前までに、長期的な地位協定を締結することを断念したことが明らかになった。米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙が13日、報じた。

 同紙は匿名の米政府高官の話として、今回の決定によって米軍のイラク長期駐留に関する協議は事実上、米国の次期政権に引き継がれることになるとしている。

 米国、イラク両政府は、正式なイラク駐留米軍の地位協定を7月中に締結すべく交渉を重ねてきたが、現在はこれに代わって、米軍のイラク駐留の根拠である国連安保理決議の期限が切れる08年以降も米軍の駐留が可能となる「暫定的な」協定締結を目指しているという。

 同紙によると、現在交渉中の地位協定は、日本や韓国と結んでいる長期的なものではなく、09年の1年間だけを対象にしたものだという。

 また、ブッシュ政権がこれまでくり返し設定を拒否してきたイラク駐留米軍の撤退時期についても、交渉関係者のある米政府高官は「撤退時期について協議を行っている」と述べているという。

■9月からイラク増派部隊の撤退開始か

 13日の米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の電子版は、ブッシュ政権がイラクへの米軍増派部隊の撤退を9月から開始する方向で検討していると報じた。

 同紙は政府と軍の関係者の話として、イラク撤退が検討されている要因の1つに、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)など武装勢力の動きが活発化しているアフガニスタンへの増派圧力が挙げられるとしている。

 5月と6月は、アフガニスタンでの米軍や同盟国軍の戦死者数がイラクでの戦死者数を上回り、この傾向は今月も続くとみられている。

 同紙によると、まだ決定はされていないものの、ブッシュ大統領の任期が切れる09年1月20日までに、現在イラクに駐留する15個旅団のうち1個旅団ないし3個旅団の撤退、もしくは撤退予定が決定される可能性があるという。(c)AFP