【6月4日 AFP】「核開発の父」と呼ばれるパキスタン人科学者、アブドゥル・カディル・カーン(Abdul Qadeer Khan)博士が3日、米紙マクラッチー(McClatchy)の取材に対しイランやリビアに核開発技術を供与した責任は自分にはないと答え、関与を認めた2004年の発言を撤回した。

 自宅軟禁に置かれているイスラマバード(Islamabad)の別荘で行われたインタビューのなかで、カーン氏は自分はリビアとイランを欧米企業に紹介しただけで、核兵器開発のノウハウは企業から提供されたと述べた。

 カーン氏は2004年2月のテレビ番組で、イランやリビア、北朝鮮に核開発技術を供与し機材を密輸するネットワークを15年間に渡り運営していたと告白していた。しかし、3日の米紙とのインタビューではこの発言を撤回、自分は核開発技術入手についてイランやリビアに「ごく限られた助言」をしただけで、核開発技術を実際に両国に提供したのは欧州の企業だと述べた。「ドイツ、南アフリカ、フランス、みなノウハウを持っている。提供したのは彼ら。私が責められるいわれはない。彼らは技術を売って金もうけをしている。なぜ私が責められるのか」と話した。

 また、北朝鮮の核開発技術はロシアから入手したものだという。「北朝鮮の科学者や技術者はみなロシアで学んで」おり、北朝鮮の核開発プログラムは「精巧に設計されたすばらしい技術」だと話す。

 米紙による初の取材は、パキスタン初の核実験から10年を迎えた数日後に行われた。
 
 パキスタンのペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領はカーン氏に恩赦を与えたが自宅軟禁状態におき、国外捜査機関による捜査を拒否した。カーン氏はパキスタン国内の共犯者は「無罪放免」になり、自分だけが核開発についての助言を行った「厄介者」扱いされたと訴えた。(c)AFP