【5月23日 AFP】イラク駐留米軍のデビッド・ペトレアス(David Petraeus)司令官は22日、イラクで治安が改善されていることから、9月に駐留米軍司令官を退任する前に、米軍の追加撤退を提言する予定であることを明らかにした。

 中央軍司令官の就任に向け米上院の承認を得るため、軍事委員会の公聴会に出席したペトレアス司令官は、前年に増派された5個旅団のうち、3個旅団が撤退した後も治安は引き続き改善していることから、残りの部隊の撤退を7月中に完了し、45日間の評価期間後、追加撤退を提言する予定だと語った。

 また、パキスタンで国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の脅威が増していることや、アフガニスタンで作戦が進展していないことへの対策について民主党議員から質問されたが、これに対しては、アフガニスタン南部の制圧には増派が必要となる可能性もあるとした上で、アルカイダの主要活動地域はイラクで、イラク国内でアルカイダ掃討に向け最善を尽くすのが適切だと主張した。

 一方で、米軍が目標としている、今年中にイラク全18州の治安権限をイラク側に移譲することについては、北部モスル(Mosul)周辺での戦闘状況などを理由に、達成の見通しはないと認めた。

 また、イラクの政治状況の改善にとって重要な地方選挙は、10月から11月にずれ込む可能性があると語った。

 一方、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、ノースカロライナ(North Carolina)州のフォートブラッグ(Fort Bragg)基地で行われた、イラクから帰還した陸軍空挺部隊の観閲式で演説し、イラク戦争への支持を新たに求めた。また、イラクからの早期撤退は9.11同時多発テロのような攻撃の再発の可能性を高めると主張。「成功前に撤退することは、世界中のテロリストや過激派に対し、米国は弱虫で長期戦の覚悟が出来ていないと示すことになり、わが国に大惨事をもたらす」と述べた。(c)AFP/Jim Mannion