【4月21日 AFP】国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)」は20日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でロイター通信(Reuters)のカメラマン1人を含むパレスチナ市民5人が死亡した16日のイスラエル軍による戦車攻撃について、意図的に行われた可能性があるとの現場検証結果を発表した。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチの中東地域担当ジョー・ストーク(Joe Stork)氏は、声明で「イスラエル軍の兵士らには砲撃前に攻撃対象を確認していなかった。意図的に報道記者を狙った攻撃だった可能性を示す証拠もある」と指摘。状況証拠から、イスラエル兵が「非情かつ意図的に」ロイターのカメラマンだったファデル・シャナ(Fadel Shana)氏らを砲撃した可能性があると述べた。

 シャナ氏に同行していた音響技師のWafa Abu Mizyed氏の証言によると、2人が乗ったトラックは丘の上でイスラエル軍の戦車を追い越した後、撮影のために停止した。カメラと三脚を設置した後、シャナ氏は集まってきた子どもたちを遠ざけるようMizyed氏に頼んだ。その直後、轟音がとどろき、Mizyed氏が振り返るとシャナ氏が地面に倒れていて、イスラム教のを経典を唱えていた。

 当時、シャナ氏は「報道記者(Press)」と大きく明記された防弾チョッキを身に着けていた。また、周囲は戦闘状態ではなかったという。

 シャナ氏のビデオカメラには、ブラックアウトする寸前に戦車が砲撃する様子が写されていた。後から駆けつけた別の記者らも、シャナ氏らが砲撃されたのを目撃している。このときの砲撃ではシャナ氏の他に、自転車で通りかかった少年2人ら一般市民3人が死亡。重傷の少年2人も翌20日に死亡した。

 ストーク氏は、シャナ氏らが乗っていたトラックにもはっきりと「TV」「Press」と記されていたこと、2人がイスラエル軍の戦車と2度すれ違っていることを指摘し、「イスラエル軍がトラックに乗っているのがジャーナリストだということを知らなかったとは思えない」と述べた。 

 イスラエル軍は、故意の砲撃を強く否定。シャナ氏らが戦闘地域にいたため巻き込まれたとの見方を示すとともに、事件の調査を行うとしている。(c)AFP/Beth O'Connell