【4月9日 AFP】イラク駐留米軍のデービッド・ペトレアス(David Petraeus)司令官は8日、米上院の軍事委員会と外交委員会の共同公聴会で、ライアン・クロッカー(Ryan Crocker)駐イラク大使とともにイラク情勢について証言した。

■増派部隊撤退後、45日間の保留期間

 ペトレアス司令官は、イラク駐留米軍について、前年に増派された5個旅団の撤退を7月中に完了させる一方、以後の撤退については少なくとも45日間保留し、整理・評価期間を持った後、現地状況を調査して、追加撤退が可能かどうか決定すると述べた。

 これに対し民主党は、米軍の無期限駐留を提案しているとしてペトレアス司令官を非難した。

 一方、クロッカー大使は、「増派は機能している」とした上で、「米国の支援は無期限ではなく、関与の規模や内容も徐々に削減すべき」との見解を示した。
 
 米軍は現在、前年増派の5個旅団の撤退を始めており、駐留軍の規模を15万8000人から14万人に削減する。

 イラク戦争ではこれまで、4000人以上の米兵が命を落としており、戦争不支持の世論が高まっている。公聴会でも、イラク戦争に対する抗議活動が行われ、傍聴席の後方に座っていた男性が「撤退させろ」と繰り返し叫び、議会の警官によって連れ出される一幕もあった。

■イランの関与を非難

 ペトレアス司令官はまた、イラク政府とシーア(Shiite)派の武力衝突が激化する中、シーア派反米指導者ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師傘下の民兵組織「マフディ軍(Mahdi Army)」などの武装勢力を支援しているとして、イラン政府を非難した。

 一方で、イラク政府による南部バスラ(Basra)でのシーア派民兵組織の掃討作戦は、計画が不十分として、掃討作戦は勧めなかったと主張した。

■大統領選の3候補が質問

 両氏の公聴会での報告は前年9月以来7か月ぶりで、2日間の日程で行われる。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は、両者の報告に基づき、10日に国民に向けて演説を行う予定だ。

 今回の公聴会では、米大統領選の3候補全員が質問する。3候補のいずれかが来年、イラク戦争を引き継ぐことになる。(c)AFP/Jim Mannion and Stephen Collinson