フセイン政権崩壊から5年、バグダッドの空港と市内を結ぶ高速道路は「安全な道」に
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【4月10日 AFP】バグダッド(Baghdad)国際空港と市内の米軍管理区域グリーンゾーン(Green Zone)を結ぶ全長12キロの高速道路、通称「ルート・アイリッシュ(Route Irish)」。「ルート・アイリッシュを無事に通過したぞ」と誇らしげな文字が入ったハンチングは、かつて空港で飛ぶように売れていた。だが、最近は売れ行きがかんばしくない。ルート・アイリッシュは、今やイラクで最も安全な道となってしまったためだ。
全4車線のこの道路は、「サイ(rhino)の道」とも呼ばれる。「Rhino Runner」と呼ばれる装甲車が空港の送迎用に行き来するためだ。道路は米軍や外交官が頻繁に使用し、周辺には米軍基地が散在していることから、攻撃の第一目標となっている。
■路上爆弾を隠しにくい道路に改善
路上には検問所が果てしなく続く。巡回する警察官は、この道は路上爆弾を仕掛けることが不可能な「難攻不落のルートになる」と断言した。2月には、この道でも路上爆弾が1個発見されたが、警察がパトロール時に発見してすぐに処理されたため、大事には至らなかった。
米軍の統計によると、武装闘争が激しかった2004年11月、この道路は自動車爆弾や手榴弾などで52回の攻撃を受けている。
イラク人のある警官(大佐)によると、転期は2004年末に訪れた。道路の警備要員が大幅に増員されたのだ。パトロールも昼夜を問わず行われる。まず、朝には徒歩による巡回が行われ、AK-47などで武装した警官らがマシンガンを備えた4WD車に乗って何度も巡回する。
また、米軍とイラク軍は、沿道のナツメヤシを伐採したり草木を短く刈り込んだり、ガードレールを撤去するなどして、路上爆弾を隠しにくい状況を作った。
目下の目標は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員が潜伏しているとされる沿道の居住区域を壊滅することだという。
■多数の検問のため、市内から空港まで2時間かかることも
警官にとってはリスクも大きい。2004年以来の警官の犠牲者数は63人。空港付近で自動車爆弾により一度に10人が命を落としたこともある。6週間前には警官1人が、検問所で戦闘員に射殺された。
一方で、空港に行きたい一般の人々にとっては、通常の数え切れないほどの検問所に加えて臨時検問所も通過せねばならず、なかなかたどりつけない。市内から空港まで2時間以上かかることも珍しくない。
だが、あるタクシードライバーは、「こうしたことにはイライラさせられるが、少なくともわたしとお客さんが空港に無事にたどりつける確率は上がる」と語る。タクシーには私服警官たちが群がり、車底部も含めてつぶさに調べる。
彼はこれまでに何度も簡易爆発物を目撃したと言う。最近最も恐ろしかったのは、2月17日にカラダ(Karada)地区の検問所で女性が自爆するのを目撃したことだったという。
ある警官(少佐)は、道路はあともう少しで完全に安全になると言う。「われわれと武装勢力は、双方に知恵をつけていくので、追いつ追われつだ。だが、テロリストたちは徐々に弱く、われわれは強くなってきている」
この言葉が現実のものとなったとき、例のハンチングが店からすっかりなくなることだけは確かなようだ。(c)AFP/Bryan Pearson
全4車線のこの道路は、「サイ(rhino)の道」とも呼ばれる。「Rhino Runner」と呼ばれる装甲車が空港の送迎用に行き来するためだ。道路は米軍や外交官が頻繁に使用し、周辺には米軍基地が散在していることから、攻撃の第一目標となっている。
■路上爆弾を隠しにくい道路に改善
路上には検問所が果てしなく続く。巡回する警察官は、この道は路上爆弾を仕掛けることが不可能な「難攻不落のルートになる」と断言した。2月には、この道でも路上爆弾が1個発見されたが、警察がパトロール時に発見してすぐに処理されたため、大事には至らなかった。
米軍の統計によると、武装闘争が激しかった2004年11月、この道路は自動車爆弾や手榴弾などで52回の攻撃を受けている。
イラク人のある警官(大佐)によると、転期は2004年末に訪れた。道路の警備要員が大幅に増員されたのだ。パトロールも昼夜を問わず行われる。まず、朝には徒歩による巡回が行われ、AK-47などで武装した警官らがマシンガンを備えた4WD車に乗って何度も巡回する。
また、米軍とイラク軍は、沿道のナツメヤシを伐採したり草木を短く刈り込んだり、ガードレールを撤去するなどして、路上爆弾を隠しにくい状況を作った。
目下の目標は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員が潜伏しているとされる沿道の居住区域を壊滅することだという。
■多数の検問のため、市内から空港まで2時間かかることも
警官にとってはリスクも大きい。2004年以来の警官の犠牲者数は63人。空港付近で自動車爆弾により一度に10人が命を落としたこともある。6週間前には警官1人が、検問所で戦闘員に射殺された。
一方で、空港に行きたい一般の人々にとっては、通常の数え切れないほどの検問所に加えて臨時検問所も通過せねばならず、なかなかたどりつけない。市内から空港まで2時間以上かかることも珍しくない。
だが、あるタクシードライバーは、「こうしたことにはイライラさせられるが、少なくともわたしとお客さんが空港に無事にたどりつける確率は上がる」と語る。タクシーには私服警官たちが群がり、車底部も含めてつぶさに調べる。
彼はこれまでに何度も簡易爆発物を目撃したと言う。最近最も恐ろしかったのは、2月17日にカラダ(Karada)地区の検問所で女性が自爆するのを目撃したことだったという。
ある警官(少佐)は、道路はあともう少しで完全に安全になると言う。「われわれと武装勢力は、双方に知恵をつけていくので、追いつ追われつだ。だが、テロリストたちは徐々に弱く、われわれは強くなってきている」
この言葉が現実のものとなったとき、例のハンチングが店からすっかりなくなることだけは確かなようだ。(c)AFP/Bryan Pearson