【3月29日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は28日、訪米中のケビン・ラッド(Kevin Rudd)豪首相と初会談を行った後の記者会見で、イラク軍がイスラム教シーア(Shiite)派民兵組織の掃討作戦を開始したことは、同国の今後を決定付ける歴史的な瞬間で、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)政権にとって正念場だと述べた。

 ブッシュ大統領は、イラクでの成功は敵対するイラン指導部に対し、中東地域を思い通りにはできないという重要メッセージを明確に送ることになると述べた。米政府は、イランとシリアを、イラクでの暴力行為やテロを支援していると非難している。

 イラクでは同日、米軍率いる多国籍軍が南部バスラ(Basra)のシーア派民兵組織の拠点を空爆し、シーア派の反米指導者ムクタダ・サドル(Moqtada Al-Sadr)師のマハディ軍(Mahdi Army)が拠点とする首都バグダッド(Baghdad)の貧民区サドルシティー(Sadr City)やカジミヤ(Kadhimiyah)地区では、新たに武力衝突が起きた。

■豪軍の一部撤退には触れず

 ブッシュ大統領は一方、ラッド首相が前年の大統領選で掲げた、イラク南部からの550人規模の駐留軍撤退については深く述べず「首相は選挙公約を守っており、私はそれを尊重する」「わたしは常に約束を守る人と共にいたい。政治家は選挙戦での公約を守らないことがよくあるが、首相は公約を守る人だ」と述べるにとどまった。

 オーストラリア政府は、バグダッドに駐留する110人強の警戒部隊や、イラク周辺に駐留する航空機や戦艦の要員など、イラク内および周辺国の軍事要員約1000人の駐留は続ける意向だ。

■ファロン中央軍司令官が退任

 一方、今月11日に辞意を表明した米軍のウィリアム・ファロン(William Fallon)中央軍司令官(海軍大将)が同日、退任した。ファロン司令官は、イラクとアフガニスタンを含む中東と中央アジアの軍事作戦を担当していた。

 司令部のあるフロリダ(Tampa)州タンパ(Tampa)のマクディル空軍基地(MacDill Air Force Base)では式典が行われ、マーティン・デンプシー(Martin Dempsey)副司令官(陸軍中将)が臨時司令官として就任した。

 ファロン司令官は、米国の対イラン政策でブッシュ大統領に反対の姿勢を示していると報じられていた。司令官は報道を否定している。(c)AFP/Laurent Lozano