【3月19日 AFP】イラク戦争開戦から20日で5年目を迎える。これまでに4000人近い米軍兵士が死亡しているが、米国人の関心はイラクよりも米景気の行方に移りつつある。

■4人に3人が「米経済は不況」と回答

 つい最近までイラク問題は米政界の話題を独占し、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の後任を選出する大統領選挙でも主要な争点になると考えられていた。

 しかし長引くイラク戦争に代わり、多くの米国人の意識をとらえているのは、住宅ローン市場の崩壊やドル相場の急落、原油価格の高騰などだ。

 米全国紙USAトゥデー(USA Today)に掲載された調査会社ギャラップ(Gallup)による世論調査では、米国人の4人に3人が「米国は不況に陥っている」と答えた。米政府は景気の現状を「不況」と呼ぶのを拒んでいるが、破産や住宅差し押さえ件数は記録的だ。

■次期政権に解決持ち越し

 イラク戦争に対する米国人の怒りの多くは、沈没の瀬戸際にある米経済に対するいらだちに移ったかのように見える。それでもイラク戦争が国内にあつれきを生む問題であることは変わりない。

 次期大統領の座を競う候補のうち、民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)両上院議員はイラクからの早期撤退を主張しているが、共和党のジョン・マケイン(John McCain)上院議員などは、ブッシュ政権の任期終了後もイラク駐留を継続すると主張している。

 ブッシュ政権が始めた「イラクの自由作戦(Operation Iraqi Freedom)」。軍事的、政治的に行き詰まり、解決困難なこの課題を次期政権は引き継ぐことになる。(c)AFP/Laurent Lozano