【3月11日 AFP】世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)は10日、紛争による人道危機が深刻化しているアフリカのスーダン西部ダルフール(Darfur)地方で、援助物資の食糧の強奪が相次いでいることから、配給量を半分にせざるを得なくなったと発表した。また、WFPが現地で行っている人道援助関係者の航空輸送を、追加資金の調達ができなければ、3月末で打ち切る方針を示した。

 スーダンのWFP事務所代表の忍足謙朗(Kenro Oshidari)氏は、「陸路の危険性が高くなり、ヘリコプターや航空機がこれまで以上に必要になっている。にもかかわらず、資金切れのため人道援助関係者の空路による移動ができなくなる恐れがある。異例の事態だ」と窮状を語った。

 WFPによると、現在ダルフールへの食糧輸送は通常の半分になっているという。その上、危険な陸路を走るのをトラック運転手が嫌がることから、配送にかかる時間が長くなっている。

 WFPは、主要配送ルートの安全確保が不可欠だと訴える。今年に入り、WFPの乗用車5台と契約トラック45台が、強盗グループの襲撃を受けた。「トラック輸送請負業者は、極めて危険な状況下で食糧を配送しており、このような状況が続いてはならない」と声明は述べている。

 ダルフールでは5月から10月にかけての雨期が近付き、人道援助を必要とする人数が増えることから、援助食糧の必要量は最大で50%増える見込みだという。WFPが配送を続けられなければ、一部地域で配給量を減らさざるを得なくなる。

 陸路での輸送の危険に加えて、WFPは空路での人道援助関係者の輸送を、資金不足から3月末で打ち切らざるを得なくなったと発表。影響は数千人に及ぶが、追加資金が即時提供されない限り、現段階では1月当たり620万ドル(約6億4000万円)の費用をまかなえず、資金が調達できるまで空輸活動は中止せざるを得ないとしている。(c)AFP