【3月11日 AFP】英国防省は、イラクに配備しているトーネード(Tornado)戦闘機の整備費用を、旧戦闘地域での武器廃棄や地雷除去を目的とした基金「紛争予防基金(Conflict Prevention Fund)」を取り崩して調達する方針を決めた。10日、英ガーディアン(Guardian)紙が報じた。

 ガーディアン紙によると、国防省の報道官は「イラクでトーネード戦闘機の出動回数が増えたことを受けた短期的な措置」と説明している。

 同紙が入手したアン・テーラー(Ann Taylor)国防副大臣あての文書のコピーによると、国防省はトーネード戦闘機6機の整備費用として英防衛航空宇宙産業「BAEシステムズ(BAE Systems)」に支払う代金を、紛争予防基金からの取り崩しでまかなう予定だという。
 
 整備にかかる費用は1機あたり500-1000万ポンド(約10億2700万-20億5500万円)。文書は、見積もりについてはBAEシステムズが作成中で、国防省への提出期限はまだ設定されていないとしている。

 紛争予防基金から整備資金を調達する必要が生じたのは、トーネードのイラクでの出動回数が増えたためだけではない。ウェールズ(Wales)のグラモーガン(Glamorgan)にある整備工場を一部閉鎖したことも原因となっている。イングランド(England)東部ノーフォーク(Norfolk)の空軍基地には、グラモーガン閉鎖を補うだけの処理能力がない。

 テーラー国防副大臣への文書は、「BAEシステムズのウォートン(Warton)工場を使用することにより、追加費用が必要となる」と説明。また、今回の決定が批判を招く事態を想定し、国防省が記者会見を開いて説明すると約束している。

 イラクには英軍部隊約4100人が駐留している。(c)AFP