【3月10日 AFP】オーストラリア海軍の潜水艦乗組員が、好景気で賃金が上昇している鉱業へ続々と転職してしまい、同海軍の潜水艦のうち半分が人員不足で出動できない状態にあることが、10日の報道で明らかになった。

 現地紙によるとオーストラリア海軍は所有する6隻のコリンズ級潜水艦のうち、3隻分の乗組員しか確保できていない。コリンズ級潜水艦は1隻につき45人の乗組員を必要とする。

 ジョエル・フィッツギボン(Joel Fitzgibbon)国防相も、潜水艦乗組員の不足を認めた。不足数については明らかにしなかったが、採掘関連企業が海軍の熟練技術者を引き抜いていると非難した。

 オーストラリアの豊富な天然資源に対する中国やインドなどアジア諸国のエネルギー需要の高まりで、好景気の只中にある鉱業大手企業と海軍が、賃金で競争することは不可能だ、とフィッツギボン国防相は述べた。

「海軍と鉱業とで要求される技術の多くが重なっている。そして一方の鉱業は好況の只中にいる」とオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting CorporationABC)の取材に対し、フィッツギボン国防相は答えた。

 また同国防相は「給料日になると(オーストラリア西部にある)採掘企業の関係者が、HMASスターリング(HMAS Stirling)海軍基地周辺をうろつき、引き抜くことができそうな海軍技術者を探している。引き抜きに成功するときもある。これは海軍にとって大問題だ」と述べた。

 政府は採用条件の改善に取り組んでいるといい、フィッツギボン国防相は、2008年末までには人員不足は解消されるだろうと期待を示した。(c)AFP