【3月8日 AFP】(一部更新)エルサレム(Jerusalem)のユダヤ教神学校Merkaz Harav Yeshivaで6日パレスチナ人の男が銃を乱射し8人が死亡した事件を受け、イスラエル当局は国内の警戒態勢を最高に引き上げた。一方、乱射事件についてパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は7日、犯行を認めた。

 同事件では学生8人が死亡、9人が負傷し、和平交渉への影響も懸念されている。犯人は警官に射殺されたが、警察はその後、犯人の親族や友人10人以上を逮捕した。

 イスラエル軍はヨルダン川西岸(West Bank)を封鎖。警察当局も警戒レベルを「厳戒態勢」に引き上げた。

 一方、ガザ地区のあるハマス高官は匿名を条件に、犯行を実行したのがハマスで、軍事部門「イザディン・アルカッサム(カッサム隊、Ezzedine Al-Qassam)」が近く正式に犯行声明を出すとAFPに明かした。

 事件に対しては、イスラエルと同盟関係にある米国のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領を筆頭に世界各国から非難の声が高まっているが、国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会合は、リビアの反対で非難決議案の採択に合意できなかった。

 死亡した学生8人のほとんどは15-16歳の若者だった。事件の起きた神学校では7日、合同葬儀が行われ、正統派ユダヤ教の黒い衣装に身を包み、頭にキッパ帽をかぶった数千人が参列した。

 警察の発表によると、犯人のパレスチナ人はライフルを手に神学校に侵入し、図書館で発砲した。現場となった神学校は、正統派ユダヤ教の中心的存在として知られており、1967年の第3次中東戦争後、入植者団体グッシュ・エムニム(Gush Emunim)による宗教的入植が始まった地とされる。

 タブロイド紙マーリブ(Maariv)は事件について「テロ攻撃を計画し、実行犯を送り込み、そして事件を起こした者は、入植の始まりの地であるこの土地に大打撃を与えた」と報じた。

 警察は犯人の男について、東イスラエルのJabal al-Mukaber地区出身ということしか明らかにしていないが、男の親族は警察から、事件の実行犯と聞かされており、男の名前はAlaa Hisham Abu Dheim(25)だという。

 エルサレムでの大規模な襲撃事件は4年ぶりで、現在、警察は実行犯の背後関係の捜査に当たっている。(c)AFP/Marius Schattner