【3月3日 AFP】イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への攻撃を数日間にわたり継続していたイスラエル軍は3日、同地区から撤収した。今回の攻撃でのパレスチナ側の死者は116人に上り、再開したばかりの中東和平交渉にとって大きな打撃となった。

 イスラエル軍の戦車や地上部隊が撤退すると、ガザ地区北部のパレスチナ住民は危険に身構えながら慎重に住居の外へ出て、がれきの中を動き始めた。今回の攻撃は、ガザ地区に対する作戦のなかで近年最大だった。

 イスラエル軍報道官はAFPに対し、「作戦は終わりに近づいている。わが軍部隊の大半は既にイスラエルに帰還した」と述べた。

 多数のパレスチナ人を殺害したイスラエルに対し、国際社会からは過剰な武力行使との非難が沸き起こっていた。

 イスラエルとパレスチナは、前年11月の米国での会議で和平交渉を再開したが、それ以降進展はみられていない。和平交渉の進展を促すためにコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官がパレスチナ入りする直前、穏健派のマフムード・アッバス(Mahmoud Abbas)パレスチナ自治政府議長でさえ、事態を受けてイスラエルとの接触を断つ状況に発展していた。

 ガザ地区からのほぼ連日のロケット弾攻撃を阻止するためとして、イスラエル軍の攻撃は前月27日から激しさを増していた。自治政府保健省によると、パレスチナ側では子ども22人と武装勢力数十人を含む少なくとも116人が死亡、350人以上が負傷した。イスラエル側は兵士2人が死亡したほか、ガザの武装勢力が発射したロケット弾により民間人1人が死亡している。

 イスラエル軍はさらに1日、イスラエルの破壊を誓うハマスが支配するガザ地区で、武装勢力の掃討作戦を開始していた。(c)AFP/Adel Zaanoun