【2月22日 AFP】親欧米の与党と親シリアの野党の対立が続くレバノンの首都ベイルート(Beirut)では与野党支持者間の衝突が頻発し、内戦の再発を恐れた市民らが自衛目的で武器を買い求めている。

 銃器販売業者がAFPに語ったところによると、個人、集団に関わらず多くの市民が護身用の銃などを闇市場で買い求めているという。

 これにより、以前は100ドル(約1万700円)から150ドル(約1万6000円)程度だったカラシニコフ銃の闇市場価格が、今では1000ドル(約10万7000円)に跳ね上がった。さらに高性能なドラグノフ狙撃銃などは以前の800ドル(約8万6000円)から今では3倍以上の2700ドル(約29万円)にも高騰している。

 業者によると、扱い易いカラシニコフ銃や米国製M16ライフル銃が現在の売れ筋だという。

 ベイルートに住むキリスト教徒の実業家の男性は、赤外線視覚装置付きの最新型ライフル銃を得意げに見せた。1250ドル(約13万4000円)で購入したという。

 レバノンでは1990年の内戦終結で、イスラム教シーア派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の軍事部門を除いて、公式には全武装組織が武装解除した。しかし、こうした組織が依然として小型武器を隠し持っているとの疑念を抱く人々も多い。

 さらに、昔から家庭で銃を保管するレバノンの伝統も市民の武装に拍車をかける。

 手持ちの銃を高性能のものに買い換える市民もいれば、一方では混乱が続くレバノンを去る決心をする市民も出ている。(c)AFP